みどころ

第2章
大王の埴輪

ヤマト王権を統治していた大王の墓に立てられた埴輪は、大きさや量、技術で他を圧倒しています。天皇の系譜に連なる大王の古墳は、時期によって築造場所が変わります。古墳時代前期は奈良盆地に築造され、中期に入ると大阪平野で作られるようになります。倭の五王の(みささぎ)としても名高い、大阪府の百舌鳥(もず)古市(ふるいち)古墳群は世界文化遺産に登録されています。そして後期には、継体(けいたい)大王の陵とされる今城塚(いましろづか)古墳が淀川流域に築造されます。本章では、古墳時代のトップ水準でつくられた埴輪を、その出現から消滅にかけて時期別に見ることで、埴輪の変遷をたどります。

家形埴輪
重要文化財 円筒埴輪

家形埴輪

大阪府高槻市 今城塚古墳出土 古墳時代・6世紀
大阪・高槻市立今城塚古代歴史館蔵

3つのパーツを組合せてつくられた巨大な家形埴輪で、屋根の上部と床下の高床部分が別づくりになっています。屋根の上には現代の神社建築にも通じる千木(ちぎ)鰹木(かつおぎ)がのせられており、大王にふさわしい建物であることがわかります。

重要文化財 円筒埴輪

奈良県桜井市 メスリ山古墳出土 古墳時代・4世紀
奈良県立橿原考古学研究所附属博物館蔵

日本最大の埴輪。メスリ山古墳では、後円部中央の竪穴式石室を取り囲むように多数の巨大な円筒埴輪がたてられました。この円筒埴輪はそのうち最大のものです。2mを上回るその高さ、大きさもさることながら、2cmほどしかない薄さにも注目です。